この前サービス開発の流れを教えてもらったんだけど、
企画の中で具体的に何をするのか教えてほしい!
今日はサービス開発の企画工程の流れを教えるね〜
サービス開発の企画の流れ
- 立案
- PoC検討
- PoV検討
- PoB検討
サービス開発の企画は【立案→PoC→PoV→PoB】の順番で進められることが多いです。
企画工程では、ユーザーが抱えている問題を解決するためにどのようなサービスを開発できるのかを検討します。
立案とはどんなサービスを開発するか案を出していくことです。
立案は基本的にお客さま側で行うことが多いですが、私たちPMやディレクターが参加して一緒に立案することもあります。
立案でどのようなサービスを開発するかを検討したら、PoC・PoV・PoB検討をおこなっていきます。
企画って案を出すことだけじゃないんだね!
案を出すのも大変なんだけど、
PoC PoV PoB 検討はとても重要だから説明していくね〜
なんでPoV・PoV・PoB検討をしないといけないの?
立案したサービスが世の中に求められているのか、会社の利益になるのか分からないから
PoV・PoV・PoB検討で実際に開発を進めてもいいか検討する必要があるんだ!
PoC検討
PoC(Proof of Concept)は直訳すると概念実証、コンセプト実証という意味になります。
PoC検討では実現可能かをできる限り検討していきます。
立案したサービスがそもそも実現可能なのか、開発しなくても既に使われているサービスで代用できないのか判断していきます。
世の中にはサービスが数えられないほどあるから、
代用できるサービスがあるのに自分たちで無理に作ろうとしなくても大丈夫なんだよ〜
PoC検討では主に、次のような検討をしていきます。
- SaaS検討
- PaaS検討
- API検討
SaaS検討では世の中にあるサービスで代用できないかを検討していきます。
SaaS(Software as a Service)は直訳するとソフトウェアとしてのサービスという意味で、「サース」や「サーズ」と呼ばれています。
SaaSとは、ベンダーが提供するクラウドサーバーにあるソフトウェアをインターネットで経由してユーザーが利用できるサービスのことで、月額や年額でサービスの一部機能を提供して、みんなが使えるようにしたもの(※ただし所有者は作成者)のことです。
コアラ先生、ちょっと話が難しくなってきてわからないや汗
そしたら、身近にあるもので例をあげようか〜
LINEって使ったことある?
バカにしないでよ〜
もちろん中学生の時から使ってる!!
そしたら話は早い!
LINEの公式アカウントで説明するからよく聞いててね〜
LINE公式アカウントもSaaSのひとつです。
飲食店のLINE公式アカウントを見ると、お店への予約、お問い合わせ、電話、メニューを見る…など、ホームページの代わりと言ってもいいぐらい機能が充実しています。
ここまで機能が充実していたら、新しいサービスを作る時にLINE公式アカウントを代用することもできそうです。
このように、開発するサービスに必要な機能がすでに世の中に出ているサービスで代用できないか検討することをSaaS検討といいます。
コアラ先生さすが!
とっても分かりやすかったよ
身近なもので例えると話が入ってきやすくなるよね!
じゃあ続けてPaaS検討について説明するよ〜
PaaS検討ではサービス開発の開発環境にかかる費用を抑えられないか検討していきます。
PaaS(Platform as a Service)は直訳するとプラットフォームとしてのサービスという意味で、「パース」と呼ばれています。
PaaSは、アプリケーションの実行に必要なプラットフォームをインターネットを経由して利用できるサービスのことです。
アプリケーションの実行に必要なプラットフォームは、ネットワークやサーバーシステム、OS、ミドルウェアなどを指していますが、PaaSの例として、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureがよく挙げられます。
API検討では複雑なプログラムを組まないでAPIを利用することができないか検討していきます。
API(Application Programming Interface)とは、アプリケーションやソフトウェアと「プログラム」をつなぐものを指しています。
USBを外部デバイスとパソコンを繋ぐインターフェースだとすると、APIはソフトウェア同士を繋げる役目をしてくれています。
身近にあるAPIを利用しているSNSは、LINEやX(旧Twitter)、YouTube、Facebook、Amazonなどが挙げられ、LINEが公開しているMessaging APIではLINEで自動返信ボットを作成することができます。
LINEにもAPIが利用されているんだね!
PoV検討
PoV(Proof of Value)は直訳すると価値実証という意味です。
PoV検討ではサービスが世の中に求められているのか、どんな人をターゲットにするのかを検討していきます。
PoV検討では具体的に次のことを行なっていきます。
- 競合調査
- ペルソナ検討
- カスタマージャーニー検討
- UI/UX検討
- ユーザーテスト
競合調査では次の5つの観点で調査していきます。
- 同じようなサービスが既に存在しているのか
- どのぐらい流行っているのか
- どうして流行っていないのか
- 価格競争に勝てるのか
- 他社との差別化をどうやって行えばいいのか
ペルソナ検討では、架空のユーザー像を名前、職業、家族構成などで具体化していきます。
ユーザー像を氏名や年齢、家族構成などの観点から具体的に考えていきます。
- 氏名:田中太郎
- 年齢:20代後半
- 居住地:栃木県
- 職業:地方銀行の営業
- 収入:年収400万
- 趣味:バイク
カスタマージャーニー検討とは、ユーザーがどのようにサービスと出会い、購入して、利用するのかを検討することです。
ユーザーが製品・サービスと出会い、そこから利用または契約に至るまでの一連の流れを旅に例えて考えることで、ユーザーが体験する中での課題を発見することができます。
UI/UX検討では、どのような見た目でどこに配置してあればユーザーが利用しやすいかを検討していきます。
UI(User Interface)はユーザーインターフェイスのことで、「ユーアイ」と呼ばれています。
ユーザーの視覚に触れるすべての情報のことを指して、どういう見栄えにしたらユーザーにとって分かりやすいかを検討していくのがUI検討です。
UX(User Experience)はユーザーエクスペリエンスのことで、「ユーエックス」と呼ばれています。
ユーザーが製品やサービスを通して得られる体験や経験のことを指していて、どこにボタンが配置してあったらユーザーは利用しやすいかなどを検討していくのがUX検討です。
UI/UX検討の段階でRFP(提案依頼書)を作成することが多いんだよ〜
ユーザーテストでは、モックやMVPをユーザーに試してもらい必要な修正を繰り返していきます。
モックとは完成後に実際に表示される状態を模した実物そっくりの画像や画面のことで、Webサイトのデザインやレイアウト、機能などをイメージしやすくするために作成します。
MVP(Minimum Viable Product)とはユーザーに価値を提供できる最小限のプロダクトのことで、想定しているサービスを検証するためのものです。
同じサービスがあるから開発を諦めるんじゃなくて、
同じサービスとの違いや独自の価値をつくれるか考えてみるのが大切なんだ〜
PoB検討
PoB(Proof of Business)は直訳するとビジネス実証という意味です。
PoB検討ではサービスに対してお金をかける価値があるか検討していきます。
PoC検討とPoV検討でサービスが実現可能で価値があるかを調査したので、PoB検討では「会社の利益になるのか」「具体的な費用とスケジュール」という観点でお金をかける価値があるのかを検討していきます。
PoBの検証方法は主に次のようなものがあります。
- 売り上げシミュレーション
- 超概算
- 運用フロー検討
- 開発ロードマップ原案
売り上げシミュレーションでは、サービスがどのぐらいのユーザーに使われて、どのぐらいの利益が見込めるかをシミュレーションしていきます。
この段階で打ち出せるざっくりとした概算のことを超概算といいます。
ここでは、初期費用と運用費用を検討して実際にどのぐらいの金額がかかりそうかを検討していきます。
SaaSやPaaSにかかる運用費を超概算に含めることも忘れないでね〜
運用フロー検討では、サービスを運用する時の流れを図で表現していきます。
ユーザーや運用スタッフが実際にサービスを利用するときの流れを可視化できるため、重要なことを見落としていても途中で気がつくことができます。
開発ロードマップの原案を作成することで、目標達成までの道のりが明らかになります。
開発ロードマップを大まかな計画書として、プロジェクトメンバーと目標を共有するのに役に立ちます。
PoB検討の内容から損益分岐点をシミュレーションできるようになるね!
今回はサービス開発の企画工程の流れを解説しました。
企画工程は「案を出すこと」だけではなく、立案したサービスが世の中に求められているのか、会社の利益になるのかをPoC・PoV・PoB検討を通して判断することがわかりました。
特に、PoCでは既存のサービスとの差別化や代替可能性を考え、PoVではターゲットユーザーのニーズや市場の需要を判断します。
さらに、PoBではビジネス的な視点から収益性を検討して、売り上げシミュレーションや開発ロードマップなど具体的な方法を用いて検証して行くことがわかりました。
PMやディレクターはサービス開発の企画工程に関わる機会は少ないかもしれませんが、企画工程から参画することでプロジェクトへの理解が深まり、サービスが世の中に出た時の達成感が増しそうですね!